連載【旅暮しのエトセトラ】
第3話:そもそも、どこへ行こう?
いよいよ、旅の計画を立ててホテルや交通機関の予約をしなくては。
ところで。
さて……どこへ行こう?
旅は、計画を立てているときが一番楽しい。
可能性は無限大だ。
まずは、利用できる全国の東急ホテルを地図上で確認してみる。
今回の旅のプランは、「東急ホテルありき」。
そこに東急ホテルがあるから、行く。
……いや、待てよ。
ついつい、全部に泊まりたくなってしまうけれど……スタンプラリーじゃないんだから、全部回っていたら、交通費がかかってしまってたいへんだ。
拠点となるホテルを決めて、移動は最小限にしよう。
ホテルや街をチョイス
まず、長期滞在というと荷物が多くなるので、ビジネスホテル系ではなく、キッチン付きで住むように暮らせるバケーションズ〈東急バケーションズ〉系列をピックアップしてみる。
ところがほとんどの施設が車がないと行けないような場所にあることに気付いた。
残念……!
唯一、〈東急バケーションズ箱根強羅〉は、登山鉄道+ケーブル+徒歩と、かなりたいへんだけれど、どうにか車がなくても行けそうだ。
★候補地①……東急バケーションズ箱根強羅
それから、リゾートといえば、やはり沖縄。
★候補地②……宮古島東急ホテル&リゾーツ
私は、お風呂も好きなので、大浴場付のホテルもチョイスしてみよう。
★候補地③……富士山三島東急ホテル
★候補地④……二子玉川エクセル東急ホテル
東京に家はあるけれど、とにかく1ヶ月間は泊まり放題なので、東京でもホテルに泊まってみる。東京のホテルに泊まる機会なんてほとんどないから、ちょっと楽しみ。
ジムのあるホテルもあるよ
ホテルの施設をいろいろ調べてみると、いくつかのホテルはジムを併設していることに気付いた。
「せっかくならば、ジムも利用してみようかな」
そうだ。今回の旅では、毎日の運動も日課にしよう。
ところが。
ジム併設のホテルは各地にあるけれど、コロナの影響で、そのほとんどがその頃は使用不可だった。毎日ジム通いのプランは、敢えなく断念。
それならば……
街を歩こう!
知らない街に行くと、なぜかよく歩く。
街を歩くだけならば、コロナの影響もないし、多少は体力作りになるかも。
歩いていて楽しそうな街は、どこだろう?
私は歴史が好きなので……やはり、歴史の古い町かな。
ということで、
★候補地⑤……金沢東急ホテル
★候補地⑥……京都東急ホテル
……だいたい、こんなところで、どうかな?
それぞれのホテルに5日間くらい滞在すると、ちょうど1ヶ月だ。
シミュレーションしてみる!
6月のカレンダーを何枚かコピーして台紙を作り、泊まる場所をフセンに書いて貼ってゆく。飛行機を利用の場合、日にちや時間によって料金がびっくりするくらい違うので、いろいろな回り方をシミュレーションしてみた。
「やっぱり、旅は最後に向けて盛り上がった方がいいから、宮古島は後半かな……あ、宮古島名物のマンゴーは6月中旬からだ、最後は、まったり箱根にしようか……」
などと、いろいろな要素を盛り込みながら、回り方を考える。
ホテルの予約は、30日分。
なかなか予約のしがいがあって、ちゃんとメモしておかないと、いつ、どこのホテルを予約したのか混乱してしまう。
飛行機も予約して……はーっ、できた!
……旅立つ前に、すでに妙な達成感。
それにしても。本当は。
先の予定は何も入れないで、自由気ままに、その日、その日の気分で、ホテルを転々とする……なんていうのもすてきだろうなぁ、とふと思う。
ついキチキチと予定をたててしまうところが、妙に貧乏性っぽいと、自分でも情けなく思ってしまうのであった。
文・河治和香 歴史時代小説作家
東京葛飾柴又生まれ。
日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。
主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。
イラスト・杉井ギサブロー アニメーション映画監督・画家
沼津生まれ、原宿育ち。
東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。