連載【旅暮しのエトセトラ】
第15話:2度目の旅ならば……
まったくおかしな話なのだけれど、旅の途中で、
「次に〈ツギツギ〉の旅をするならば……」
と、ふと考えることがあった。
特に旅の終盤に入ってからは、移動中、窓の外の景色を眺めながら、いつの間にか気付くと、
「次は……」と考えている。
旅の終わりが見えてくると、少しでも現実逃避したい気持ちが妄想につながっていくのかもしれない。
このサイトにもオススメルートの紹介があるけれど、私はテーマ別(?)に旅のプランを考えてみたので、せっかくだから、ちょっとここにメモしておこう。
「旅をしながら、仕事もするぞ」コース
今回は、仕事は最小限こなすだけだったけれど、いろいろ工夫すれば「どこでも仕事はできるんだな」という手応えを感じた旅だった。
たとえば、ホテルの回り方は、こんな感じ……
二子玉川→富士山三島→神戸元町→宮古島→渋谷→箱根
街中の機能的なホテルと、静かな自然の中のホテルを緩急つけて交互に回るコース。リゾートは滞在長め、都市部では打合せとか雑事などを片付ける感じで短めの滞在でどうだろう。
「とにかく、ぼんやりしたい」コース
東急バケーションズのホテルを中心に回る。
ただ、東急バケーションズのホテルは基本自炊なので、「旅先でまで家事をしたくない」という人は、東京、京都、大阪……あるいは宮古島などのラグジュアリーなホテルステイか、自家用車利用で、ドライブ兼ねてあちこちに外食に行くのもいいかも。(外食すると費用がかさむことを覚悟しなくてはならないけれど)
このツギツギスタイルの旅は、利用できるホテルの種類が豊富なので、いろいろ組み合わせてみると面白いと思う。
「この際だから、ダイエット!」コース
ジムのあるホテルを選んで回ってみる。(実は、調べてみるとけっこうあるのだ)
渋谷(エクセル)→金沢→京都→大阪→渋谷(ストリーム)……とか。
ジムといっても簡単な器具があるだけだけれど、ウォーキングしたり、1ヶ月間集中して自己鍛錬に励む、なんていうプランはどうだろう。
自己管理能力が必要だけれど、旅先の魔法(?)で、ふだんより少しは頑張れるかも?!
「1ヶ月だけ、スピリチュアルにはまってみる」コース
今回、街中にステイしているときは、近所の神社に毎朝ウォーキングを兼ねて参拝してみたが、これがなかなか清々しかった。
東京や大阪、京都にはもちろん神社はたくさんある。それ以外にも、札幌には北海道神宮、三島には三嶋大社、金沢には金沢神社、神戸には生田神社(縁結びで有名!)、博多には博多祇園山笠で有名な櫛田神社など、東急ホテルの近くだけでも、いろいろ神社があって、こうしたパワースポットを巡りながら、毎日瞑想したりマッサージしたりして、心と体を癒す旅とか……。
何かいやーなことが続いた時に、「ええーい、1ヶ月間、身を清めるぞー」などと、やけくそパワーで出かけて行くと、なんだか本当に人生に変化が起きるかも。ふふふ。
でも、本当に。運を引き寄せるには、日々の生活を地道に整えることも大事だけれど、時にはダイナミックに動いて、自らに〈揺さぶり〉をかけることも大事なのかもしれない。
……そんな気がする。
全くの事前計画はなしで、気の向くまま、朝起きたときの気分で、
「さぁ、今日はどこに行こう?」なんていう旅も、すてきだろうな。
なかなかできそうもないけれど、感性を研ぎ澄まして直感でその日1日の行動を決めて動くなんていうのも面白そうだ。
文・河治和香 歴史時代小説作家
東京葛飾柴又生まれ。
日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。
主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。
イラスト・杉井ギサブロー アニメーション映画監督・画家
沼津生まれ、原宿育ち。
東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。