福利厚生費について、いくらまでが妥当であるのか、金額や使い方に悩む方も多いことでしょう。本記事では福利厚生費の妥当な目安や注意点、NG例を解説します。制度設計や経理処理の参考にぜひお役立てください。

福利厚生費はいくらまでが妥当?

基本的に、福利厚生費全体の計上に上限金額はありません。ただし、常識の範囲内での計上が必要です。度を超えた金額を計上した場合、経費として認められないリスクもあるため注意しましょう。
法定福利費はいくらまで?

法定福利費とは、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険など、法令で会社負担が義務づけられている費用のことです。法定福利費の負担率は、法律によって定められています(※)。
※国土交通省”「法定福利費を内訳明示した見積書」について” 参照
法定外福利費はいくらまで?

法定外福利費とは、企業が自主的に提供する福利厚生の費用を指します。法律で定められているわけではありませんが、社会通念上妥当な範囲でなければなりません。
ここでは、主な法定外福利費の項目と、それぞれにおける注意点やポイントを紹介します。
通勤手当
通勤費は非課税限度額が設定されており、一人あたり月15万円までであれば課税対象外です。15万円を超える金額を支給すると、超過分が給与とみなされ課税対象になります。支給条件や交通手段に応じて規定を整備し、全従業員に平等に適用することが重要です。
健康診断
全従業員を対象に健康診断を実施する場合、その費用も福利厚生費として計上することが可能です。予防接種や人間ドッグなども認められますが、全社員を対象とする必要があります。
特定の社員だけが受けられるような制度は福利厚生として認められない可能性があるため、注意しましょう。ただし、人間ドッグでは「〇歳以上」といったように、年齢制限を設けることは可能です。
住宅手当
住宅補助も人気の高い制度ですが、福利厚生費として扱うには要件があります。勤務地や職種による公平な基準を設け、全体に周知されていることが必要です。特定の従業員だけを対象とすると、給与課税の対象になるため注意が必要です。
食事支給
会社が食事を提供する場合、その一部を従業員が自己負担していれば、福利厚生費として認められやすくなります。また、一人当たりの金額が月額3,500円以下になるようにしましょう。
慶弔見舞金
結婚祝いや出産祝い、弔慰金などは、慶弔規程に基づき一律に支給される場合は福利厚生費として認められます。社内ルールが整備されておらず都度判断で支給している場合は、給与扱いとされることがあるため注意が必要です。
親睦会・送別会・歓送迎会など
社内イベントにかかる飲食代や会場費なども、全社員を対象に開催されていれば福利厚生費として認められます。 少人数での懇親や個別の接待に見える場合、交際費や給与とみなされる可能性があるので気をつけましょう。
社員旅行
福利厚生としての社員旅行は、4泊5日以内かつ全従業員を対象とした計画であれば非課税です。ただし、参加率が著しく低い場合は、福利厚生ではなく個人への支給と判断されるリスクがあります。
保養所
会社所有や契約型の保養所にかかる費用も、福利厚生費の対象になります。社員が自由に利用できる状態であること、利用条件に偏りがないことなどが条件です。個人の住居代わりに使用されたり、役職者専用となっていたりする場合は税務上の問題になることがあります。
用途にも注意!福利厚生費として認められないNG例

福利厚生費として計上したつもりでも、税務上認められない支出は給与扱いや交際費として課税対象になることがあります。 実際に見落としやすいNG例を知って、制度設計や経理処理におけるリスクを回避しましょう。
- 家族経営の場合
- 個人事業主で従業員が他にいない場合
家族経営の場合
家族で構成された小規模事業者の場合、福利厚生費の取り扱いには特に注意が必要です。「従業員が他にいない」「実質的に家族だけが対象」といった状況では、福利厚生費として認められない場合があります。
個人事業主で従業員が他にいない場合
個人事業主の場合、自身の健康診断費用や交通費などを福利厚生費に含めることはできません。個人に関する費用は「事業主貸」などで処理し、経費化しないことが原則。また、配偶者などを従業員として雇っている場合も注意が必要です。
福利厚生費の上限に関して注意したいポイント

福利厚生費は企業の自由な裁量で設定できる項目が多くありますが、無制限に計上できるわけではありません。 ここでは注意しておきたいポイントを紹介します。
- 社内ルールを明確にする
- 従業員への周知を徹底する
- 福利厚生費とならない場合は課税対象になる
- 源泉徴収との兼ね合いに気をつける
社内ルールを明確にする
福利厚生制度を導入する際は、対象範囲や支給基準、利用方法などを明文化することが重要です。明確な社内規定がなければ、税務署から給与として扱われるリスクが高くなります。書面化された福利厚生規程は、税務調査への備えとしても有効です。
従業員への周知を徹底する
制度を設けるだけでなく、すべての従業員が公平に利用できる状態であることがポイントです。利用できることを知らない社員がいたり、実質的に一部の社員しか使っていなかったりする場合、福利厚生費とは認められない可能性があります。入社時や定期的な社内通知で制度を正しく案内するようにしましょう。
福利厚生費とならない場合は課税対象になる
制度の内容や運用が税法上の基準を満たしていないと判断された場合、その費用は給与や交際費として課税対象になる可能性があります。特定の社員だけが利用していたり、私的な用途と判断される支出は福利厚生費としては通用しません。
特に、旅行や飲食などの費用は用途の判断が分かれやすいため、記録や領収書の管理を徹底する必要があります。
源泉徴収との兼ね合いに気をつける
福利厚生費ではなく給与扱いとなった場合、その金額も源泉徴収の対象に含める必要があります。
適切に処理していなかった場合、源泉徴収漏れとして追徴課税を受けるリスクもあるため、日頃から福利厚生費の区分を明確にして、会計・税務担当者が共通認識を持つようにしましょう。
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福利厚生費を使う際は上限に気をつけよう

福利厚生費の上限について解説しました。福利厚生費は、法令や税務上のルールに基づいて適正に運用することが大切です。従業員が不安なく利用できる制度づくりを進めるためにも、本記事のポイントをぜひ参考にしてみてください。