大手企業にお勤めの奥野さん。元々旅好きで、TsugiTsugiの第一弾募集を聞いた時から参加したいという思いを持っていたそう。「ぜひ第二弾では参加する!」と半年越しに実現させたワーケーションの旅。どのように旅するような暮らしを楽しんだのか、旅の前の段取りや、リモートワークの様子についてもうかがいました!聞いているだけでもワクワクする、旅上手な奥野さんならではの全国周遊ツギツギ体験をご紹介します。


20代会社員、ワーケーションにあたり重要な段取り「事前準備」による雰囲気作り

普段、どのようなお仕事内容や、ワークスタイルでしょうか。また長期のリモートワークにあたりどのような準備をされたましたか?

私が所属している部署は、基本的に出社がメインのスタイルになるのですが、TsugiTsugi参加にあたり1週間おきにリモートワーク、出社を繰り返し行いました。そのうちにリモートワークでも問題ないという周囲の方や上司の方の理解やマインドを持ってもらうことができるようになりました。第一弾の時は社内でも、制度などを整備している途中というところでもあり、周囲の空気感もまだまだという状態であったのですが、第二弾に参加するにあたり、事前に調整することでリモートワークをするための雰囲気が生まれました。 また、彼女など身近な人にもずっと「行きたい」という思いを伝えておくことで理解を得やすくなりました。いくつかの旅行先を一緒に回って楽しんでもらうことができたりもして、1泊ごとに誰を同伴してもいいところも使いやすいポイントでした。

コンセプトは「いろんな人に会いに行く」、日本全国で現地の知人に会いローカルのおすすめを満喫

▶旅のテーマと楽しみ方

今回、「いろんな人に会いに行く」というコンセプトを掲げて参加しました。 全員大学や高校の友人たちで、東京で都度、集まることはありましたが、赴任先の現地で会うことはなかったので、今回の旅で各地で会いにいくことも目的のひとつでした。 そこで、友人たちの新たな一面を感じることができた点は面白かったです。みんな、ちょっと「その街の現地風」を吹かせていて、友人たちの現地での顔を見ることができました(笑) 今回の旅において、各地の名物を食べるようにしていたのですが、食事についても自分だけだとネットの情報やランキングの情報だけでお店を選んだしまうところ、現地を知る友人に「美味しいところに連れてって」と伝えておくことで、よりリアルな「おすすめ」な場所に連れて行ってもらうことができたのが良かったです。

行き先は決めていましたか?

→予定に隙間を空けておくことでひらめきや突然の予定変更まで楽しむスタイルで上手に活用

北海道と沖縄だけ決めており、その他は後から決めました。予定に隙間を作っておくことで気に入ったホテルに延泊するなど旅程や施設を楽しみました。

雪の北海道、南国宮古島、桜咲く伊豆、全国を巡る奥野さんの利用コースをご紹介

《 北海道→名古屋→島根→広島→京都→宮古島(沖縄)→那覇(沖縄)→三島・伊豆・下田(静岡) 》

同行者は行く先々で変わり、全部で6名!

♦北海道|東京の友人と、現地の友人
♦名古屋〜島根〜広島〜京都|名古屋の友人
♦宮古島(沖縄)|彼女
♦那覇(沖縄)|東京の友人と、現地の友人
♦伊豆|彼女

参加するにあたり、同行者の皆さまの反応はいかがでしたか

現地の友人にとっては自分の地元に友達が遊びに来て昼は仕事をして夜は一緒に飲みに行くという感覚で、いくつかの場所を同行した彼女にとっては一緒に行く旅行という感覚だったようで、同伴してもらったみんなにとっては、それほど特別なことではなく、負担感がなかったこともよかった点だと思います。 僕にとっては30日間会社にも行かず仕事をしながら全国を旅するという特別な体験ですが(笑)

偶然の発見や出会いも楽しい、各地の過ごし方

各地での過ごし方を教えてください

<北海道>

三連休からスタートしたエリアのため、札幌の友人と小樽など観光を目一杯楽しんで、スープカレー、ジンギスカン、海鮮丼などご当地グルメも満喫しました。

印象的なお店はありますか?

特に印象的だったのが、北海道の地元で有名なコンビニで、店内調理の「カツ丼」を強くお勧めされて食べたのです。自分だけだと限られた食事の中でコンビニのご飯をチョイスすることはおそらくなかったと思うのですが、友人から「絶対食べて!食べないと帰さない」とお勧めされて、半信半疑でトライしました(笑)。確かに価格も安く美味しくて、現地の友人のおすすめがあったからこそですね。


<名古屋〜島根〜広島〜京都>

名古屋から島根の移動の際に、友達とレンタカーで一日かけてドライブしました。カーナビと高速道路を使わず、看板だけで目的地を目指す。途中でどこを走っているのかわからなくなったりしながら、6時間程度で着くはずのところが18時間もかかりました。道の探求をしてみたんです。

今回泊まった島根は、このような機会がないといくことがないと思い選びました。松江エクセルホテルに宿泊したのですが、出雲大社に行くにも便利ですし、開放感のあるエントランスと清潔感のある広めの部屋が想像以上に良かったです。そこから広島、京都を回っています。


<宮古島(沖縄)>

休日を使って那覇空港に向かい、彼女と合流し、そのまま宮古島へと行きました。 滞在中は1日だけ仕事をし、残り4日間は休日と有給休暇を活用し、目一杯楽しみました。 天気はあいにくの雨で、島内のドライブが中心の旅行でしたが、途中雲の切れ目から青空と真っ青の海が広がり、とても素敵な場所でした。


<那覇(沖縄)>

宮古島から帰ってきて那覇では2つの施設をとまりました。特に印象的なのがドンキホーテの上の東急ステイホテルです。正直最初はそれほど期待していなかったのですが、ドンキホーテが施設内にあることでとても利便性が高かったです、仕事帰りにお酒を買いに行ったり、途中でどうしても必要なものができたときに、施設直結24時間営業のお店があることは意外と便利でした。 那覇では現地の友人と東京から遊びに来た友人と会ったのですが、那覇を散歩をしていたところ、プロ野球の試合があることを発見し、急遽「翌日行こう」いうことになり、オープン戦を観戦しました。

さらにその日は沖縄の別の場所でもプロ野球の試合をやっていて、偶然SNSで先輩と後輩が別の野球の試合を見に沖縄に来ていることを知り、連絡をとって合流し、沖縄で東京と現地の友人と飲むことになり、楽しい時間を過ごせました。


<伊豆>

一度自宅に戻ったものの、家には入らず車をとって彼女とドライブをしながら伊豆方面に旅行に出かけました。週末は富士急ハイランドと三島スカイウォークを堪能しました。ホテル伊豆急に宿泊をしましたが、今回の旅で唯一の畳の和室がとても心地よかったです。

平日と土日の過ごし方は違いますか

エリアの観光を土日にし、平日は食事と友人との食事に行くという、観光と、仕事、現地の知人とのオフタイムを楽しむといった使い方をしていました。


ワーケーションのポイントや、リモートワークの効能とは

持ち物で工夫したことはありますか

パソコンさえあれば仕事ができるので、特別なものは持っていきませんでした。 基本的にはホテルの部屋で働いていましたが、移動に伴うチェックアウトの後は、特典のウェルカムドリンクチケットなども使いながらホテルのラウンジで仕事をして次の移動に備えることなどをしていました。 工夫といえば、チェックイン・アウトでラウンジやカフェで仕事をするタイミングには自分が話すMTGは極力を入れない方がいいかもしれません。 リモートワークでの変化として、出社や朝ごはんの用意などにかかる朝の時間が取られないので、仕事を早く始めることにしていました。その分、夕方にはスッキリ終わり、夜は友人と飲みに行くという区切りをつけられます。 また、温泉・大浴場付きの施設であれば、仕事の前に朝風呂、夕方は友人と会いに行く前にひとっ風呂浴びてから、といった温泉付きホテルならではの過ごし方もできリフレッシュできました。 目覚ましで起きる毎日ではなく、自然と起きられるという健康的な日々になりました。

奥野さん流、荷物の工夫とは

スーツケースは1/4は開けていくようにいました。しかし、道中でお土産を購入したりするうちに、結局1/4のスペースでは足りず、途中で一度家に荷物を送りました。このように送ることもできるので、結果的には荷物の空きスペースなどはあまり考えなくてもいいのかなと思います。 荷物といえば、旅行中、予定になかった急なお客様との会議が入ることがあったのですが、スーツは荷物になるので持っていかなかったため途中で襟付きシャツを購入しました。リモートワークで利用するのであればお客様に対応できる服を持っていくことをお勧めします。

最後に今回のTsugiTsugi体験はいかがでしたでしょうか?

一度も会社に出社することなく、30日間仕事しながら全国を旅行すると考えると価格以上の価値があったと思っています。 金銭的な問題や周囲の状況など各々事情があると思いますが、行ける環境があればぜひ行くことをお勧めします。

貴重なお話、ありがとうございました。


仕事をしながら、非日常である旅も楽しんだ奥野さん。 お話をお聞きいていると、旅の様子がリアルに想像でき、とても楽しく充実したお時間を過ごされたことが伝わってまいりました。 事前準備をすることで旅するような暮らしを実現。ワーケーションをしながら赴任先の友人と会って、彼女との旅行も満喫する理想のスタイルのひとつと言えそうです。施設のチョイスや各地での過ごし方もとても魅力的で、今後検討される方にも参考になる情報がたくさんあったのではないでしょうか。 気になる方は、旅行中の様子がよくわかるインスタグラムもチェックしてみて! https://www.instagram.com/tsugitsugi_telework/

場所を変えて頭をリセット。ワーケーションが新しい価値を生み出すきっかけに

多彩なご経歴を持ち、最近ではVoicyのパーソナリティを務めるなど、幅広く活躍する伊藤羊一さん。以前から「ひとり合宿」と称してワーケーションを行っていたといいます。そんな伊藤さんに、TsugiTsugiを体験いただいたご感想や、ワーケーションがビジネスに与える影響について伺いました。


ワーケーションを始めたきっかけを教えてください。

テレワークが普及し始めた数年前から、月1回くらい「ひとり合宿」と称して逗子や軽井沢に行くようになりました。ひとり合宿中はメールのやり取りなどは極力せず、主に絵を描いています。絵と言ってもアート作品ではなく、頭の中を整理するために描くポンチ絵(構想図)のようなものです。最終的には言語化するとしても、まずは頭の中にあるものと文章の中間みたいなものを作りたくて。家でもできる作業ですが、場所を変えた方が捗ります。

ご自身を整理する時間を確保するために、あえて場所を変えているんですね。

パソコンのデフラグ(最適化)をするように、月1回くらいは頭の中の断片を整理する時間が必要だと思っています。普段さまざまな人と会話を交わす中で、アイディアの切れ端がたくさん溜まっていくんです。その点在する切れ端の中から、「これとこれを掛け合わせたら新しいものが生まれるな」というものをどれだけ思いつくか。仕事をする上では、「一粒で二度おいしくする」ことがすごく重要だと考えています。ただ、忙しい日常の中では、なかなかそういう時間が取れないですよね。頭の回転を普段と変えるためには、やっぱり場所を変えるのが効果的です。

いつもの部屋にいる時と場所を変えた時とでは、違うアイディアが生まれるものですか?

やはり全然違います。初めて訪れた場所の街並みを見て、はっと何かが降りてくることもありました。泊まる場所もそうですが、その街から得るものも大きいです。ただ狙えるものでもないので、セレンディピティを求めている感じです。TsugiTsugiだと、自分ではなかなか行かない地域にも泊まれるのがいいですよね。普段から「行きたい」と思っている場所なら自分で勝手に行けばいいわけで。そうじゃないからこそ、より新しいものに出会える気がします。ホテルのラインナップが多いこと自体に価値を感じました。

ありがとうございます。伊藤さんが行き先を選ぶ基準は?

オンライン化が進んできたとはいえ、東京での用事も多いのでアクセスは重視しています。逗子や軽井沢など、1時間程度で東京に戻れるところが多いですね。今回も6泊のうちの3泊は、予定が入ることを見越して近場のみなとみらい(横浜ベイホテル東急)へ。そのかわり、もう3泊はせっかくなので遠くに行こうと思って宮古島(宮古島東急ホテル&リゾーツ)を選びました。

都心とリゾート地でワーケーションを行う場合、お仕事の目的も変わりますか?

<横浜の景色>

そうですね。みなとみらいは都内とほとんど変わらない感覚があって、なおかつ海が見えて気持ちがいい。場所が変わる良さも味わいながら、普段の仕事をより気分良くできるという感じです。反対に、宮古島ではもっと観念的なことを考えたいと思っていて。会議等の予定はほぼ入れず、日常的な仕事は全て出発前に終わらせました。リゾート地でのワーケーションは、ただその場所に行けばいいというものではなくて、ビフォーアフターも含めて完成するものだと思います。それをやらないと、多くのワーケーションは破滅する気がしますね。

―目的を持つことと、それに向けて調整をすることが重要なんですね。これからTsugiTsugiを利用する方に向けて、持ち物などのアドバイスがあれば教えてください。

僕は荷物が少ない方で、宮古島にもリュック1つで行ってホテルの方に驚かれました。着替えとパソコンがあって、Wi-Fiが強ければ十分ですね。あとはパソコンのディスプレイが必需品なので、みなとみらいには小脇に抱えて持参して(笑)。宮古島にはケーブルだけを持って行ってパソコンとテレビを繋ぎました。もともとホテルで仕事をするのに慣れているのと、足りないものはほとんど現地調達できるので、持ち物が少なくても不便は感じません。

長期のホテル滞在で、運動や食事などの健康面は意識されていましたか?

運動に関しては、6日間とも1万歩以上は自然と歩いていました。普段だと時間がない日は5,000歩くらいの時もありますが、旅先では「せっかくだから景色を見て散歩しよう」という気持ちになります。ちなみに、食事も「せっかくだから…」とたくさん食べてしまうので自制心が必要です(笑)。特にみなとみらいのホテルは朝食がすごくおいしくて、毎日のように出来立てのオムレツの前に並んでいました。

ホテルの方も喜びます(笑)。ずばり、伊藤さんが思うワーケーションの効果とは?

僕の場合は、場所を変えることで頭の回転を変えて、脳内を整理できることです。特に新しいことを始める時には、先ほどお話しした「絵を描く」という作業が必要なので。一般的な話にするならば、「場所を変えて、普段と違う仕事をしませんか?」ということですよね。とはいえ、普段はその「違う仕事」をする時間がなかなか取れないので、ワーケーションで無理やりにでも時間を生み出すことが大事だと思います。

TsugiTsugiがそのきっかけになればうれしいです。

TsugiTsugiは、都心とリゾートのホテルが縦横にラインナップされているところも最高だと思います。横というのは、都心のホテルを転々とするイメージ。その時の仕事は実務でも何でも良いんです。普段とは少し場所を変えて、ホテルの食事や景色を堪能しながら「プチ新鮮さ」を味わってみる。仕事の調整もほとんど必要ないので、本当に気分を変えるために使えばいいと思います。そういう横の移動を近場で刻みつつ、年に数回はリゾートまで大きく縦に移動してみる。ただし、リゾートでは実務を極力避けること。仕事の調整を含めた、ビフォーアフターで新しいものを生み出すために行くべきです。リゾートでの時間自体も大切ですが、仕事を強制リセットすることで得られるものもあります。そのためにワーケーションがあるんだと思います。

ワーケーションの核心を突いたお話ですね。最後に、TsugiTsugiのおすすめ度を教えてください!

おすすめ度は満点です。やるかどうかは、本当に個人の状況次第だと思います。決して安いものではないので、それを受け入れられるかどうかです。ただいろんな場所に行けるというだけではなく、メリハリをつけることで新しいものが生み出せるという効果も含めて考えてほしいですね。そして、これからはそういう働き方が重要になっていくと思います。

貴重なお話、ありがとうございました。

常に先進的な考えを取り入れ、多彩な活動を続ける伊藤さん。ワーケーションがビジネスに与える影響についても、ご自身の経験をもとにした多くの気づきをお話しいただきました。これからもさらなるご活躍を期待しています。

ホテル暮らしで充実した日々を満喫。久々の旅が最高のリフレッシュに

リアリティ番組『テラスハウス ALOHA STATE』で人気を博し、インフルエンサーとしても活躍するフランク奈緒美ロレインさん。旅好きの彼女ならではのセンスが垣間見える、ホテルでの過ごし方や旅の楽しみ方について伺いました。



移動に便利な駅近ホテルで、翌日の予定も計画的に。地元の親友との博多ステイ

―最初に訪れた、フランクさんの地元・福岡ではどのように過ごされましたか?

福岡に到着した日に友人と待ち合わせをして、そのまま博多東急REIホテルに泊まりました。地元に帰る時はいつも実家や友人の家に泊まっていましたが、以前から「たまにはホテルに泊まってみたいね」と話していて。翌日は熊本のグリーンランドという遊園地に行く予定だったので、県外にも移動しやすい博多駅近くのホテルを選びました。実家だと博多に出るまでに4、50分くらいかかってしまいますが、博多に泊まったおかげでその分ゆっくりできたのが良かったです。

―アクセスの良い博多に泊まったことで、旅をより満喫できたんですね。

二子玉川ではラグジュアリーなホテルステイを旅のメインに。ドレスアップしてディナーも満喫

―次にお泊まりいただいた、二子玉川エクセルホテル東急はいかがでしたか?

めちゃくちゃ良かったです!昔から二子玉川の雰囲気が好きでよく遊びに行くので、ホテルのラインナップを見た時から絶対に泊まりたいと思っていて。到着した日のお昼にチェックインして、ホテルの下にある商業施設でショッピングしてからホテルに戻ったら、ちょうどサンセットの時間だったんです。ホテルからすごく綺麗な夕日を見ることができて、それが本当に気持ちよかったですね。

―お食事はどうされたのでしょうか。

ちょうど緊急事態宣言が明けた時だったので、レストランで夜景を見ながらディナーをいただきました。久しぶりにお酒とコース料理を堪能できて、相当テンションが上がっていたと思います(笑)。

素材の味を感じられるお料理はもちろん、丁寧な接客が本当に素晴らしくて。普通の飲食店にはない、ホテルならではのラグジュアリー感に気分が上がりました。

―二子玉川にはよく遊びに行かれるということですが、宿泊したご感想は?

二子玉川は観光というよりも、ホテルをメインに楽しむ場所だなと思いました。ビルの最上階から3フロアがホテルになっているので、最高の景色を楽しめるのがいいですよね。誰もが一度は憧れる、都心のタワーマンション生活を疑似体験したような気分を味わえると思います。

―その視点は面白いですね!


事前リサーチでしっかり計画を立て、名所の多い京都旅も存分に楽しむ。フランクさん流・旅行術

―次に、京都東急ホテルにステイしていただきましたが、施設はいかがでしたか?

私が泊まった部屋はクッションや照明などが和風のデザインになっていて、ホテルの中にいても京都を感じられたのがうれしかったです。ホテルから京都駅までのシャトルバスが出ているので、観光地にアクセスしやすいのも助かりました。

―京都での過ごし方について教えてください。

到着した日は夜遅かったのでそのままホテルで休み、翌日は朝早くから京都駅で着物の着付けをしてもらいました。まずは伏見稲荷大社に向かい、鳥居がたくさん並んでいるところで写真を撮って、あの幻想的な雰囲気を味わいました。その後は定番の清水寺へ。以前に訪れた時は改修工事中だったので、綺麗になった姿を見られたのがうれしかったですね。そこから清水寺の近くにある友達のカフェに寄ったり、ゆっくり散策したり、のんびりと京都を満喫しました。

―インスタに載せていた着物姿も素敵でした。

ありがとうございます。私はしっかり計画を立てて旅を楽しむタイプなので、着物も事前にリサーチして予約を入れておいたんです。最終日は嵐山方面を巡って、渡月橋や竹林の小径を観光しました。竹林はあいにくのお天気でしたが、かわりに施設内で素敵な写真が撮れたのでよかったです。

横浜ステイは憧れのホテルで。時間を気にせず、レイトショーで優雅な夜を味わう

―最後に泊まられた、横浜ベイホテル東急はいかがでしたか?

実は以前から横浜に行くたびに、バルコニー付きの部屋を遠くから眺めて「いつかあんなホテルに泊まってみたいね」なんて友達と話していたんです。ただ、その憧れのホテルが横浜ベイホテル東急だと知ったのは泊まった日の翌日で。駅直結なので初日はホテルの外観が見えなかったんです。翌日に外から見て、やっと「あのホテルじゃん!」と気が付きました(笑)。

アクセスが良すぎて気が付かなかったんですね(笑)。

そうなんです(笑)。そのかわり利便性は抜群でしたし、ホテル自体も高級感があってすごく良かったです。今までは東急ホテル=ビジネスホテルのイメージでしたが、今回泊まった二子玉川、京都、横浜は特にラグジュアリー感があって、東急ホテルに対するイメージが大きく変わりました。

ありがとうございます。横浜ではどのように過ごされたのでしょうか。

数年前にオープンした「MARINE & WALK YOKOHAMA」にはまだ行ったことがなかったので、まずそこに行きました。昔は「よこはまコスモワールド」でよく遊んでいましたが、今回はもう少しのんびり過ごしたいなと。MARINE & WALK YOKOHAMAは雰囲気がとても良くて、時間がゆっくりと流れているような感じがしました。本当は中華街にも行くつもりだったんですけど、気付いたらずっとそこにいましたね。

夜はホテル近くの映画館でレイトショーを見ました。最初はDVDをレンタルして見る予定だったのが、行ってみたら同じ建物の中に映画館があって。ちょうど上映開始5分前でタイミングよく入れました!見終わった後も終電の時間を気にしなくていいので、のんびり歩いてホテルに帰って。ぶどうジュースをワインに見立てながら、セレブ風な大人の夜を過ごしました(笑)。

今回はさまざまなホテルにお泊まりいただきましたが、もともとホテル暮らしに対するイメージや憧れはありましたか?

仕事柄、コロナが流行する前は移動も多かったので、ホテルで10日間くらい過ごすことはよくありました。今回久しぶりに旅をして以前の感覚を思い出したというか、「これこれ! リフレッシュってこういうこと!」とあらためて感じましたね。旅行は本当に良いものだとしみじみ思いましたし、ぜひ皆さんにも体験してほしいです。

ありがとうございます。最後に、フランクさんが今後行ってみたい場所はありますか?

東急バケーションズ軽井沢は景色がすごく良さそうでいいなと思いました。ああいう場所で1週間くらいワーケーションができたら最高ですね。やっぱり在宅の仕事が続くと閉塞感があるので、良い景色を見てリフレッシュできたらと思います。


―貴重なお話、ありがとうございました。

センスあふれる写真とともに、旅先での思い出を語ってくれたフランクさん。久々に旅の感覚を思い出し、ゆったりとした時間の中で充実した日々を過ごしたことが伝わってきました。今後もさらなるご活躍を期待しています。

旅をしているように毎日を過ごせたらいいのに……そんなことを、ぼんやりとずっと思っていた。
好奇心に満ちた毎日。刺激的な毎日。そして、自由な毎日。
でも、現実にはなかなかむずかしい。
定職に就けば時間は自由にならないし、年とともにだんだんと、「やっぱり家がくつろぐな」と出不精にもなってゆくような気がする。
さて……。

最初に、私のことを少しだけ

私は、〈河治和香〉の名で歴史時代小説を書いている作家。
数年前から仕事場を北海道に移して、今は東京と北海道との2拠点生活。(実情はそれほど立派なものじゃなく、小さな部屋で本や資料に埋もれて暮らしている)
もともとは二十数年間、日本映画監督協会という映画監督の団体で事務の仕事をしていた。副業で映画のシナリオ(その昔、女子大生だった頃の菊池桃子や、裕木奈江、三船美佳のデビュー作などの、いわゆる〈アイドル映画〉というヤツ)や小説を書いていたため、休日や有給休暇まで原稿書いたりしていて、当時は長期休暇なんて夢のまた夢。

……ああ、いつか、自由に自分の時間を使ってみたいなぁ。

 やがて、一念発起して筆一本でやっていこうと退職し、さぁこれからは自由だ!と思ったのも束の間、その3ヶ月後に夫が悪性リンパ腫を再発し、1年後には亡くなってしまったのである(ひーん!)。

いきなり私は、定時の仕事どころか、家族からも完全に自由になった。
 

ところが。
自由になったはずなのに……今度は一人になった不安から、私はひたすら仕事を詰め込んで自分をどんどん追い込むようになった。(仕事でもしていないと堪えられないほど寂しかったんだと思う)
いつの間にか私は、「いつも仕事をしているような気がする」、「いつも仕事のことを考えている」……という状態に。
 ……なんか、おかしい。
せっかく自由になれたはずなのに!

……そして、このコロナ禍である

今度は自粛生活で、私は家に引き籠もるようになった。

子供もいないし、親兄弟親戚とも縁遠い私は、筋金入りの天涯孤独の身の上。外で人に会うこともなく、他人の目のない家での一人暮らしは自由だけれど、自堕落になりやすい。

 引き籠もってみて実感した。

 自由気ままで、すこぶる楽ちん。

よくないことだとはわかっているけど、なんだか〈心地よく〉底なし沼にズブズブとはまってゆくみたいな感じ。

 ……ハッ?!

 まずいんじゃないの? こんな生活。

 体重が3キロも増えていた。毎日、体も頭もぼんやりと重たいよ。

 仕事していない日も、ちっとも体も心もリフレッシュしていないみたい。

「どうしたらいいの、これ……?」

今の時代だからこそ、〈ツギツギの旅〉の提案

そんな時……〈定額制回遊型住み替えサービスTsugiTsugi〉の募集を知ったのだった。
「応募者多数だろうけど、ま、行動しなくちゃ何も始まらないし」
と、軽い気持ちで応募したら当たってしまって……。
結局、私は1ヶ月の〈旅するような暮らし〉に突入することになった。

それは……今の時代(あるいは、私自身)の閉塞感をどうにかしたい、という気持ちと、このコロナ自粛の中で〈新しい自粛の形〉を模索してみたい、というチャレンジするような気持ち。

 このプランに参加しているのは、主にノマドワーカーの人たちだろうと思っていたら、実施後のアンケートによると、年齢層もまちまち、意外と女性の参加も多く、さらにはフリーランスの人ばかりでなく、企業に勤めている人や公務員の参加もあったという。
 〈旅するような暮らし〉は、特別な人たちだけのものではなく、在宅勤務を始めた方や、すでに仕事をリタイアしたご夫婦など、老若男女、職業問わず、誰にでも少しずつ身近な存在になってきているのかもしれない。

まずは、体験してみた

ほんの思いつきと勢いで、旅に出てしまった私。

でも、この1ヶ月はいろいろなことを見直すきっかけにもなりました。

「1ヶ月も旅するって、どんな感じなんだろう?」

……スケジュールは? 荷物は? 食事は?

そんな問題に直面しながら、右往左往しつつも、のんきに「旅してみた」1ヶ月の記録を、これからレポートしていきたいと思います。



文・河治和香  歴史時代小説作家

東京葛飾柴又生まれ。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。

主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。

イラスト・杉井ギサブロー  アニメーション映画監督・画家

沼津生まれ、原宿育ち。

東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。

「このコロナの時代に旅するって……しかも、1ヶ月も?!」
 さすがにどうなんだろう?と、旅のモニター当選通知を受けた時、考えた。
 万が一、旅の途中で感染したりしてしまったら、ほんと顰蹙ものである。大丈夫かな?

でも……

人生の二巡目は、旅からはじめよう

結果として、私は旅に出ることにした。
 今回の1ヶ月コースの時期は、2021年6月の1ヶ月間。他の時期だったら見合わせていたかもしれない。
 極めて個人的な理由なのだけれど……実は私はこの6月に誕生日を迎え、いよいよ〈K点越え〉なのだった。
(いやもうカンレキって言えばいいんだけど。なんか漢字で書いてみたら、急に年相応というか、めっきり老け込んだ気分になっちゃって。それで勝手にK点越えとか言ってます。今はそう珍しいことでもないところも、ジャンプのK点越えみたいだし!)
 毎年、誕生日は周囲の人が祝ってくれていたけれど、コロナの影響で一昨年は一人で過ごしたし、去年も一人の予定だった。
 いい年して、別に誕生日も誕生会もないのだけれど……今回はK点である。
同級生は次々と定年を迎え、まさに人生の後半戦を迎えるポイントとなる日を、ポツンと一人でいつもの日常の中で迎えるのも、ちょっと面白くないような気がした。

……人生の二巡目を、旅から始めるのはどうだろう?

私の場合、今回の旅への衝動は、この一点に尽きる。
 ちょうど小説の仕事も本を出したばかりで、次の連載の準備期間だったし……。
 そうだ、世の中には、〈リフレッシュ休暇〉なるものがあるらしい。
 とにかく頑張ってここまで生きてきたんだから、他人に迷惑をかけないように、それだけは充分気をつけて、1ヶ月、のんびり無為に過ごしてみよう。

旅のマイルール!

それでも、このコロナ禍の世の中を1ヶ月も旅するのである。
いくつかのルールを自分の中で決めることにした。
 ★人混みには近付かない。
 ★基本的には、人と会わない。
 ★できるだけ外食はしない。

……って、そんな旅をして、楽しいのかな?
 旅の楽しさは、本来は人の集まる観光地に行き、遠くの友を訪ね、そしてその土地の美味しいものを食べることにあるんじゃないだろうか?
でも、感染リスクもまたそのへんにあるらしいから、今回は仕方ない。
 「観光して、お買い物して、美味しいもの食べる」だけが旅の楽しみじゃないし。
 そう……それこそ、「暮らすような、旅」。

この旅で、何がしたいの?

と、改めて自問自答してみる。
 ……旅という非日常に身を置きたいんだ。たぶん、それだけ。
 昔、文士といわれる人が執筆のために伊豆や蓼科などに長逗留したのは何のためだったのだろう?
 もちろん原稿を書くためといわれているけれど、実際には現実から離れたところに身を置いて、構想を練ったり、考えをまとめたりするためだったのではないか。
 非日常は、思考を深める。
というわけで。
今回の旅は、通常の旅の楽しさは追求せず、ただひたすら〈旅という非日常に身を置くこと〉にフォーカスしてみる。
1ヶ月、あちこちの日常ではない場所に籠もってみる。
これもまた自粛生活の一つの形になるかもしれない。

改めて、旅のテーマを考える

★遍路の旅が、自分自身との会話の旅であるように、日常を離れて自分と語り合う旅。
心の中にたまった長年の澱のようなものを整理できたらいいな。
★あるいは、〈人生の棚卸し〉というイメージ。自分を見つめ直して、心の中の整理整頓をする……   新たな人生の二巡目を踏み出すために。

別に、旅に出なくてもできるんじゃないの?と、突っ込みを入れたくなっちゃうけれど……まぁ、なかなか家じゃ、できないんだよな。(旅先でも、できないかもしれないけど)
 自分でも本当は、わかっている。

「そんなことやっても、人生何も変わらないよ」

……そう。でも、やってみたい。その気持ちを大事にしたい。
 まぁ、長い人生にそんな〈骨休め〉が、1ヶ月くらいあってもいいんじゃないかな、と思って。



文・河治和香  歴史時代小説作家

東京葛飾柴又生まれ。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。

主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。

イラスト・杉井ギサブロー  アニメーション映画監督・画家

沼津生まれ、原宿育ち。

東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。

いよいよ、旅の計画を立ててホテルや交通機関の予約をしなくては。
 ところで。
さて……どこへ行こう?

旅は、計画を立てているときが一番楽しい。
 可能性は無限大だ。
 まずは、利用できる全国の東急ホテルを地図上で確認してみる。
 今回の旅のプランは、「東急ホテルありき」。
 そこに東急ホテルがあるから、行く。
 ……いや、待てよ。
 ついつい、全部に泊まりたくなってしまうけれど……スタンプラリーじゃないんだから、全部回っていたら、交通費がかかってしまってたいへんだ。
 拠点となるホテルを決めて、移動は最小限にしよう。

ホテルや街をチョイス

まず、長期滞在というと荷物が多くなるので、ビジネスホテル系ではなく、キッチン付きで住むように暮らせるバケーションズ〈東急バケーションズ〉系列をピックアップしてみる。
 ところがほとんどの施設が車がないと行けないような場所にあることに気付いた。
 残念……!
 唯一、〈東急バケーションズ箱根強羅〉は、登山鉄道+ケーブル+徒歩と、かなりたいへんだけれど、どうにか車がなくても行けそうだ。
★候補地①……東急バケーションズ箱根強羅
 それから、リゾートといえば、やはり沖縄。
★候補地②……宮古島東急ホテル&リゾーツ
 私は、お風呂も好きなので、大浴場付のホテルもチョイスしてみよう。
★候補地③……富士山三島東急ホテル
★候補地④……二子玉川エクセル東急ホテル

 東京に家はあるけれど、とにかく1ヶ月間は泊まり放題なので、東京でもホテルに泊まってみる。東京のホテルに泊まる機会なんてほとんどないから、ちょっと楽しみ。

ジムのあるホテルもあるよ

 ホテルの施設をいろいろ調べてみると、いくつかのホテルはジムを併設していることに気付いた。
「せっかくならば、ジムも利用してみようかな」

 そうだ。今回の旅では、毎日の運動も日課にしよう。
 ところが。
 ジム併設のホテルは各地にあるけれど、コロナの影響で、そのほとんどがその頃は使用不可だった。毎日ジム通いのプランは、敢えなく断念。
 それならば……

街を歩こう!

 知らない街に行くと、なぜかよく歩く。
 街を歩くだけならば、コロナの影響もないし、多少は体力作りになるかも。
 歩いていて楽しそうな街は、どこだろう?
 私は歴史が好きなので……やはり、歴史の古い町かな。
 ということで、
★候補地⑤……金沢東急ホテル
★候補地⑥……京都東急ホテル
 ……だいたい、こんなところで、どうかな?
 それぞれのホテルに5日間くらい滞在すると、ちょうど1ヶ月だ。

シミュレーションしてみる!

 6月のカレンダーを何枚かコピーして台紙を作り、泊まる場所をフセンに書いて貼ってゆく。飛行機を利用の場合、日にちや時間によって料金がびっくりするくらい違うので、いろいろな回り方をシミュレーションしてみた。
「やっぱり、旅は最後に向けて盛り上がった方がいいから、宮古島は後半かな……あ、宮古島名物のマンゴーは6月中旬からだ、最後は、まったり箱根にしようか……」
 などと、いろいろな要素を盛り込みながら、回り方を考える。
 ホテルの予約は、30日分。
なかなか予約のしがいがあって、ちゃんとメモしておかないと、いつ、どこのホテルを予約したのか混乱してしまう。

 飛行機も予約して……はーっ、できた!


 ……旅立つ前に、すでに妙な達成感。
 それにしても。本当は。
 先の予定は何も入れないで、自由気ままに、その日、その日の気分で、ホテルを転々とする……なんていうのもすてきだろうなぁ、とふと思う。
 ついキチキチと予定をたててしまうところが、妙に貧乏性っぽいと、自分でも情けなく思ってしまうのであった。



文・河治和香  歴史時代小説作家

東京葛飾柴又生まれ。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。

主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。

イラスト・杉井ギサブロー  アニメーション映画監督・画家

沼津生まれ、原宿育ち。

東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。

  「旅をするように暮らしたい」という言葉には、「モノを持たずに身軽に生きたい」という意味も含まれているような気がする。
 「トランクひとつの荷物だけで暮らしたい」……とか。

ところで。
『365日のシンプルライフ』というドキュメンタリーを元にした劇映画『100日間のシンプルライフ』の予告編は、こんなふうなセリフからはじまる。

「祖父母の持ち物は200個、両親の持ち物は650個、僕たちの持ち物は1万個だ」

……なかなか衝撃的な事実。
試しに私も今回の長旅の荷造りするにあたって「生活に必要なものってどれくらいあるんだろう?」と1週間ほどかけてリストアップしてみた。
 ……なに、この量?!
 モノの多さは、生きていく上での不安の裏返しかもしれない。

持ち物の山に挫折する

 北は北海道から、南は沖縄まで旅するので、滞在場所ごとに衣服計画を立ててみた。
 メモを見ると、ほとんど、女性誌の〈着回しコーデ1ヶ月〉企画みたいである。
 トランクに詰める荷物の山を見て、呆然とした。
 若い頃ならば、「なんでもいい」と頓着しなかったのに、年とともにこだわりが強くなり、いつの間にか「慣れ親しんだ日常」に固執している。
……自分はもう若くないんだな。
そんなことを実感する。
 私は、一人旅の寂しさを、「いつもの愛着のある日常品」で埋めようとしているのだった。そして……結局、その現実を受け入れて大量の荷物とともに旅することを、私は選んでしまったのである。
 今は物流が発達しているので、もう、大きなトランクに詰めて、次の滞在地へと送りながら旅をしよう、と決断したのだ。

ついに枕まで……!

 〈身軽な旅〉を放擲した時点で、私がその巨大なトランクに詰め込んだもの……それは、枕。
 よく「枕が変わると寝られない」というけれど、逆にいえば、「枕さえいつもと同じならば、どこでも熟睡できる」ということ。私の枕は羽毛で圧縮すると意外にペッタンコになるので、とうとう枕まで持参することに!

 ついでに旅の相棒に、昔、未亡人になったばかりの頃、最初の旅の機内で購入したクマのぬいぐるみも荷物の隙間に入れた。
 (いやはや、「ぬい旅」(ぬいぐるみと旅する)というわけではないんだけど、部屋に戻ってきたときに、ベッドにちょこんとクマがいると、なんだかほっこりするので。ちなみに枕の横にあるグリーンの玉は、マッサージボール)

宅急便の重さを越えたらどうなる?!

 それにしても、このトランクは大きい。何も入れなくても8キロもある。
 ヤマト運輸に問い合わせしてみたら、いわゆる宅急便というのは、三辺の計が160㎝までとのこと。スーツケースの形状であれば多少大きくても大丈夫らしい。
 問題は重量で、25キロまで。それを越えてしまうとヤマト便になってしまい、翌日配送などのサービスが受けられなくなってしまう。
「旅先で重量が25キロを越えてしまったらどうしたらいいんでしょうか?」
 恐る恐る聞いてみたら、「その時は、いくつかに分けて発送して下さい」と至極真っ当な返答が。いざという時のために、百均の大きなファスナー付シートバッグと、養生テープなどの梱包セットも入れておく。
 そして、荷物はどんどん限りなく増えてゆくのであった。(……こわい!)

荷造り中の妄想の罠

 荷物は最小限に……これは旅の鉄則だとはわかっているのだけれど、初めての経験なので、どうしても不安になって荷物が多くなる。さらには、いろいろ「やりたいこと」や、「できるかもしれない」と思ったものも持っていきたくなって……。
 結局は、旅に出たら、それほどできることってないのかもしれない。
 それなのに、どうしてあれもこれも、持っていきたくなるんだろう。
「こんなに荷物持って……1ヶ月もフラフラ旅して……大丈夫なんだろうか?」
 直前になって、なんだか不安になってきてしまった。

 それにしても。
 旅は準備がたいへんだ、という人がいる。
 旅は準備が楽しい、という人もいる。
 私はこの過程がたいへんだったけど、なかなか面白かった。
 トランクの中には、衣服などのオシャレ関係よりも、一人でいる時間が不安にならないように本を用意したり、ティータイムが充実するようにとコーヒー豆から、お茶の急須まで詰め込んだ。
旅の荷物を眺めてみると、改めて今の自分にとっての大事なものの優先順位がわかったような気がする。

 ホテルが落ち着くのは、モノがないからだ。モノがあふれていると思考も行動もスッキリしない。せっかくモノがないホテルライフに、結局ゴチャゴチャと日常を持ち込んではもったいなかったな……ということを悟ったのは、残念ながら旅から戻ってからのことであった。ああ!



文・河治和香  歴史時代小説作家

東京葛飾柴又生まれ。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。

主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。

イラスト・杉井ギサブロー  アニメーション映画監督・画家

沼津生まれ、原宿育ち。

東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。

 さぁ、いよいよ今日から1ヶ月の旅が始まる……という出発の朝は、大忙しである。
 ふだんなかなか洗えないカーテンやシーツなどリネン類を洗濯する。洗濯していると、
「……いよいよ旅に出るのだ」
という高揚した気持ちがふつふつと湧き上がってくる。

ニコタマ、お洒落すぎる!

 今回の旅は北海道の家からの出発である。
 東京にも家はあるけれど、せっかくなので「東京ホテルライフ」から旅を始めよう。
ということで、家に荷物を置いたあと(←なんかへんな感じ!)、まず〈二子玉川エクセルホテル東急〉に。
実は、二子玉川ってほとんど行ったことがない。お洒落なお店がいっぱいだ。
ホテルのあるビル〈ライズ〉には商業施設がいろいろ入っていて、〈蔦屋家電〉にあるコンビニのファミマも、ふつうのファミマとは何か違っていて妙にオシャレ。(実際、店内にはワインがずらっと並んでいたり、文具が充実していたり……中身もぜんぜん違っていてびっくりした)
……もはや、ほとんど〈お上りさん〉状態。
ホテルの入口がわからなくて、ライズの回りをグルグル回ってしまった。(ホテルの入口、レストランのドアみたいで気付かなかった)
考えてみたら、うちからニコタマまで電車で20分、直線距離にしたら8キロくらいしかないのに……外国に来たみたいだ!

新しいホテルのカタチ

 二子玉川エクセルホテル東急は、部屋のレイアウトも斬新だった。
 部屋に入るとまず洗濯機がある。
 なんと洗濯機の上に電子レンジ。ティーカップなどのお茶のコーナー。すごい取り合わせだなぁ。
 その隣には台所のシンク、そしてIHヒーター。おお、台所付きだぞ。

 窓の外を見ると……ええっ?! 木が生い茂っているよ!
「……ここ、何階?」
 このホテルは、最上階がフロントで(眺望抜群!)、この部屋はその一つ下の階のはず……なんと、ビルの内側の部屋は窓から外を眺められない代わりに、屋上庭園の広いベランダがついているのであった。
 窓が全開になるホテルの部屋というのも、なかなかいいものだ。
 テレビが壁掛け式になってから、ホテルの部屋のレイアウトは劇的に変わったように思う。台所のシンクとは別に設置されている洗面台は高くて使いやすかった。レイアウトだけでなく、部屋のあちこちが微妙に新しい感覚。
 このホテルには大浴場がある。大きい湯船に浸かっていると、小さなバスダブより疲れがとれるような気がするから不思議だ。

渋谷ストリーム?!

 翌日は、東京での仕事をこなし、今度は渋谷ストリームエクセル東急ホテルに宿泊する。

 この頃の渋谷の変貌は目まぐるしく、ちょっと行かないと、どんどん知らない街になってゆくようだ。
「渋谷ストリームって、ヒカリエとは違うんだな。まてよ、このスクランブルスクエアってなんだっけ?」
地図を見ても、さっぱりわからない。かつて渋谷に20年も通勤していた私なのに……!
またまた迷子になるのは避けたいので、とにかく地下道のC4出口を目指してゆく。
 と、地上に出てみれば……
「……ここ、どこ?」
 ぜんぜんわからない。川があるから、渋谷警察署あたりなのか?
 ……もはや、駅から徒歩3分の渋谷樹海に迷い込んだ気分。
 たどり着いた渋谷エクストリームエクセルホテル東急も、超おしゃれな雰囲気だった。各階に靴のメンテナンスやクッキングスペースなどが設けられている。すごいアットホームな感じ。
 ここも部屋の窓は全面だった。素晴らしい眺め!……なのだけれど、まだ、自分がどこにいるのかわからなくて、なんだか落ち着かない。
 翌朝、エレベーターで乗り合わせたカップルの彼女の方が、「じゃ、私JRだから」と、2階で降りたので、やっと気付いた。
 ……もしかして、2階の通路で渋谷駅に直結しているのか?!
 帰りは2階から長い通路を人の流れに沿ってひたすら真っ直ぐ歩いてみたら、スクランブルスクエアを通ってJR渋谷駅にたどりついた。なんだ、階段上ったり降りたりして、ひたすら地下C4出口経由でストリームまで行っていたけれど、駅直結だったんじゃん!
私はやっと自分がどこにいたのか理解したのであった。
「ストリームは昔の東横線の改札あたりで、スクランブルスクエアっていうのは、要するに昔の東急東横店か!」
 悲しいかな、なぜか昔の建物をあてはめて、やっと理解している。なんといっても私の頭の中の地図にあるのは、昔の〈東横〉ままなのだ。
 いやはや……渋谷の街は、地上に巡らされた通路で縦横無尽にビルからビルへとつながるようになったらしい。
 まるで、子どもの頃に思い描いた未来都市のよう……。
 うちからもっとも近い繁華街の渋谷が、本当に見知らぬ街のように思えた。
 それは、家ではなくてホテルに泊まったことによる感慨だったのかもしれない。



文・河治和香  歴史時代小説作家

東京葛飾柴又生まれ。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。

主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。

イラスト・杉井ギサブロー  アニメーション映画監督・画家

沼津生まれ、原宿育ち。

東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。

 旅の空で誕生日を迎える。
 と、いっても厳密には家があるのに、ホテルに泊まっているだけの〈旅〉だけれど。
 (昔、バブルの頃は、クリスマスに都内のホテルに泊まったりしたものだ。懐かしい)
 とまれ、今はコロナ禍の世の中である。
 さて、どうやって過ごそうか……。

まず、朝ごはんを食べよう

 目下、私が一番気に入っている〈モーニング〉は、目黒駅の近くにある「果実園リーベル」というフルーツパーラーのフルーツサンド。

  季節のフルーツがギッチリ。フルーツヨーグルトも、これでもか!と果物が入っていて、食べ応え充分。
 朝、7時半から営業しているので、早起きして行くのがオススメ。昼になると行列の人気店なのである。(モーニングの時間帯は、コーヒーのおかわりもついてくるよ!)

プレゼントを買うのだ!

 「自分へのごほうび」という言い方が、どうもあまり好きになれない。言い訳っぽい感じがいやなのかな。そう、でも自分で自分に贅沢品を買うときは、いつでも、ちょっと言い訳したくなるのかも。
 そうだ。こんなときこそ……百貨店の商品券を利用しよう。
 デパートにはほとんど行かないので、贈答用の商品券がいつの間にかたまっている。これを使ってしまえば後ろめたくないぞ。
 というわけで、私は勇んでデパートに。
 目指すは、ディプティック。奇しくも私が生まれた年に創業したフランスの香水店。そう、自分自身への誕生日プレゼントはディプティックの香水にしよう。
 私は、〈オルフェオン〉という香りを選んだ。
 ディプティックが創業した頃、店の隣にあったバーの名前からつけられた香水。
 うーむ、私の生まれた頃のサンジェルマンの夜は、こんな香りのイメージなのか。
 香りは体の一部と直結して、気持ちを活性化してくれるような気がする。
 旅の道づれに、新しい香水……ふふふ、なんだかちょっと楽しい。

さて、誕生日のディナーは?

 せっかくの誕生日だ。大好きなものを食べよう。
 もう、前から決めていた。
 東京を離れると、無性に食べたくなるもの……江戸っ子のソウルフードといえば、〈弁松〉の弁当!
 (何をもって〈江戸っ子のソウルフード〉とするかは、人それぞれだと思うけれど、この弁松の弁当の「濃ゆい」と言われる味付けが、まさに江戸から続いた味であることは間違いないのではないかと思う)
 たかが弁当とあなどることなかれ。
 弁松の弁当は、ごちそうなのである。

 〈弁松〉は江戸時代から続く最も古い弁当屋。おかずは小さな焼き魚の他は、野菜の煮物ばかり。これが甘辛くてとっても美味しい。そう、江戸の味は甘くてしょっぱい。〈つと麩〉とか、〈生姜の辛煮〉とか、ここでしか味わえない煮物も。
 そして最後に、隅にみっちり入った豆きんとんで締めると、満足感でいっぱいになるのだ。そうそう、この日はめでたい日なのでお赤飯にした。ははは!

ケーキは別腹なのだ

 もちろん、誕生日だからケーキも食べる。

 久しぶりに東急フードショーに出かけた。
 ……って、フードショーが、マークシティ1階に移動していた。しかも、ここはスイーツの店ばかりではないか!
 まぶしすぎる……!
 どの店にも美味しそうなお菓子が並んでいて、目移りしてしまって決められない。
「お菓子というのは……文化なんだなぁ」
と、ふと思う。
 もちろん地方都市でも美味しいお菓子はたくさんある。そう、饅頭とショートケーキが一緒に並んでいるのもいいんだけれど……何といったらいいのだろう、このマークシティのフードショーに並ぶスイーツのそれぞれに洗練された雰囲気は?!
 迷いに迷って、〈パティスリーカメリア銀座〉の「キュート」というケーキを買った。

こってりして見えるけれど、中はフランボワーズのムースとゼリーで意外に軽い味わい。

 東急フードショーは、二子玉川エクセルホテル東急の近くにもあり、もちろん渋谷にもあって、ここでお惣菜を買ってホテルの部屋で食べていると、いわゆる「惣菜を部屋でモソモソ食べる」というしょぼくれたイメージが一掃されてしまう。
 いわゆる「デパ地下」なんだろうけれど、もっと食に対してクリエイティブな気持ちがあふれている。「こんな食べ物があるんだ!」とわくわくしてくる何かがある。
 ひとりで暮らししていると、なんとなくお惣菜を買って食べることに後ろめたさを感じたりするのだが、東急フードショーの惣菜とホテル暮らしは、その気持ちをもっと前向きにさせてくれたような気がする。
 こんな誕生日もいいかも、ね。でも……ちょっと、太ったかも!



文・河治和香  歴史時代小説作家

東京葛飾柴又生まれ。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。

主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。

イラスト・杉井ギサブロー  アニメーション映画監督・画家

沼津生まれ、原宿育ち。

東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。

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