連載【旅暮しのエトセトラ】
第14話:あると便利、なくても平気?!
旅の便利グッズ、というのはいろいろあるけれど、便利だと思う基準は人それぞれのようだ。
私にとっては必需品でも、人によっては荷物になるだけの無駄な物だったり……。
というわけで、参考程度に、便利だったもの、不要だったものの紹介を。
クローゼット吊り下げラック
ツギツギスタイルの旅は、基本的にはツインの部屋が用意されている。
一人で利用する場合は、空いている方のベッドが〈物置〉になるわけだが、大きなスーツケースをガバッと開けたままだと……なんだか部屋がゴチャゴチャして落ち着かない。
特に困るのがシャツや下着などの小物の収納である。
そこで、「クローゼットの隙間を利用できないかな?」と、旅の途中、百均のワッツで見つけた不織布吊り下げラック。(百円ではなく、500円くらいしたけど)
クローゼットにセットするとこんな感じ。軽くて畳むと薄くなるので、旅の間中ずっと持ち歩いた。
紙類の整理には、紙袋
書類や本や便箋、メモ……紙類がたまってしまうので、茶色の紙袋に入れて分類。
お茶やコーヒーのティバッグなどの食品も、ハガキサイズの紙袋に入れて立てて置くとスッキリ。
洗濯物干しは……
下着などは、洗面所でチャチャッと洗ってしまうのだけれど、靴下などを干すために……当初、旅行用ピンチハンガーを持参しようかと思ったのだが、意外とかさばるので、ワイヤーハンガーとぶら下げるピンチを何個か持っていくことにした。
ピンチは取り外せるので、ハンガーとしても使用可。
こんなものも……
スーツケースは、基本は使っていないベッドの上に乗せるわけだけれど……なんだか、気になるのが車輪の部分。横に物を置いたりすると触れてしまって不衛生なのでは?!
私が神経質過ぎるのかなぁ、と思いながらも、数日間の滞在の場合、車輪をむき出しにして置きっぱなしにしておくのがどうしても忍びなくて……こんなカバーをつけた。
これ、実は椅子の脚用のカバー。(椅子の脚にカバー付ける人がいるらしくて、百均にはいろいろな種類のカバーが売っている)
最近では、椅子の脚カバーを流用しなくても、〈スーツケース車輪ソックス〉〈キャスターカバー〉などの名で専用のものが売っている。
それほどかさばるものでもなし……こののんきなクマ柄〈ソックス〉をスーツケースに履かせると、場所塞ぎなスーツケースも、ちょっとなごむような気がする。
逆に使わなかったものは……
実は、荷物に入れたけど旅の途中に送り返したものもある。
まず……スリッパ。
ホテルによっては、備え付けスリッパが〈抗菌済〉のビニール製だったりするので(これ、私はどうも苦手)、いつも百均の安いスリッパを持ち歩いていた。
が、各地の東急ホテルでは、どのホテルも、使い捨てのパイル地スリッパが用意されていたので不要に。
それから、これ。(手拭いである)
何に使うかというと……
昔のホテルの室内では、壁に面したデスクの前が〈一面の鏡〉であることが多かった。仕事するのも、食事するのも、「自分の顔を見ながら」。……これが、いやなので、手拭いを2枚いつもスーツケースに入れておき、養生テープで鏡に貼って鏡を隠して壁にしてしまうのだ。
ところが、今回宿泊したホテルは、ひとつも〈デスク前に鏡〉がなかった。
このタイプの部屋のレイアウトは、どうやら〈昭和のホテル〉の形式になりつつあるらしい。
余談ながら(寝間着と蒲団について)
気にならない人はまったく気にならないと思うのだけれど、枕が変わると寝られない私は、ホテルの寝間着と、それから蒲団について、いつも気になってしまうのだった。
東急ホテルズの寝間着は、ほとんどがロングシャツタイプのスリーパーかパジャマで、なかなか快適。
ところが、富士山三島東急ホテルだけは、〈健康ランドの館内着系〉であった。大浴場への往来があるのでこうした形になってしまうのだろうけれど、これを寝間着にするのはちょっとゴワゴワして寝心地がよくないかも。
ホテルによって寝間着は微妙に違うので、やっぱりルームウェアにもなる寝間着を持参した方がいいかも。いやもう裸になってどこでも寝てしまえる人がうらやましい……!
それから、ホテルは空調が整っているので、掛け蒲団は1年中薄い羽毛蒲団であるらしいのだが……夏になってもエアコンをあまり利用したくないときは、やはり暑い。というか、冷房をガンガンかけて羽毛布団というのはちょっとつらい。
悩んだ揚げ句、勇を鼓してフロントに尋ねたら、毛布の貸し出しがあるという。羽毛布団のかわりに毛布1枚で寝てみたら、これがすこぶる快適であった。(ベッドメイキングは自分でやる。けっこう力仕事だ)
でも、1泊、2泊ならば我慢してしまうけれど、長期滞在になると、無理のない範囲で工夫も必要。なんといっても、睡眠は快適な旅の基本だ。
文・河治和香 歴史時代小説作家
東京葛飾柴又生まれ。
日本大学芸術学部映画学科卒業後、CBSソニーを経て、日本映画監督協会に勤務。
主な著書に、「がいなもん松浦武四郎一代」(第25回中山義秀文学賞、第13回舟橋聖一文学賞受賞)、「ニッポンチ!」、「遊戯神通伊藤若冲」(以上、小学館)、「どぜう屋助七」(実業之日本社)など。
イラスト・杉井ギサブロー アニメーション映画監督・画家
沼津生まれ、原宿育ち。
東映動画に入社し、日本初の長編アニメ「白蛇伝」の製作にかかわる。その後、手塚治虫の虫プロ創立に参加。「鉄腕アトム」、「まんが日本昔ばなし」、「タッチ」、「キャプテン翼」などのテレビアニメ、劇場用映画として「ジャックと豆の木」、「銀河鉄道の夜」、「あらしのよるに」など多数。